光学薄膜とは

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光学薄膜とは(機能と効果)

光学薄膜は多層構造で成膜する事が多いのですが、ここでは、その説明を簡単にするために単層膜の反射防止膜を例に取ります。

光が界面に当たると反射を起こします。例えば、左図の屈折率1.5のガラス基板に光が入る場合、入射側の界面で4%の光が反射し、さらに射出側界面で約4%を反射する事になります。
つまり、100%の光はガラスを通過すると92%に減衰されて透過し、8%の光が反射するのです。
夜、明るい室内から窓ガラス越しに外を見ると、自分の姿が写るのは、この8%の反射光が見えているのです。

このような現象は、ガラス越しの動物を気づかれないように観察するには大変都合が良いのですが、照明系で使用すると光が暗くなりますし、光学系ではゴーストやフレアーの発生原因となったりします。また、光を信号として利用する場合にはノイズや伝送距離が短くなるなどの不都合な点が多々発生してしまうのです。

ここで光学薄膜の登場です。ガラス表面に光の波長よりも薄い膜をつけると、光の挙動を変化させる事が可能となります。

例えば屈折率1.38のフッ化マグネシウムの膜を約0.1μmガラスの表面にコーティングすると、表面の反射率はコーティング無しの4%から1.41%まで低減されるのです。
左の写真は一枚のガラス板の中央より左半分に薄膜で反射防止コーティングを施したものです。反射が減少して後ろの文字が見えます。

薄膜でこのようなことができるのは、薄膜の表面で反射した光と、薄膜と基板の界面で反射した光が干渉するためです。
この光学薄膜による光の干渉作用を利用する事で、反射を減少させたり、逆に反射を増加させたりする事が可能となり、色々な用途に使えるようになります。

光学薄膜とは(基本膜構成例)

光学薄膜の基本膜構成は下記のようになり、通常は薄膜材料2~3種類を交互に重ね合わせる事で所望の分光特性が得られます。ここでは、基本的な膜設計例を示します。
実際の設計はコンピューターを用い、各層の膜厚を希望の特性に合致するように最適化します。
また、基板や膜の吸収を考慮する必要もあります。
下記で使用した表記は、高屈折材料をH、低屈折材料をLで表し、一般的な表記に従い、光学膜厚の1/4 λの4は省略して表記しています。

【例】
1.0H → 高屈折材料(例えばTiO2 n=2.4) 膜厚 1.0/4 λ を示します。
1.0L → 低屈折材料(例えばSiO2 n=1.46) 膜厚 1.0/4 λ を示します。

基板 / 0.5L 1.0H 0.5L / 空気 が示す構成は

を意味します。

単層反射防止膜

基本膜構成例
分光特性図(片面)

2層反射防止膜

基本膜構成例
分光特性図(片面)

3層反射防止膜

基本膜構成例
分光特性図(片面)

UVカットフィルタ

基本膜構成例
分光特性図(片面) 17層

基本構成は(0.5H 1.0L 0.5H)n です。
グラフ上のリップルを取るには、膜厚をコンピューターにより最適化する必要があります。

IRカットフィルタ

基本膜構成例
分光特性図(片面) 17層

基本構成は(0.5L 1.0H 0.5L)n です。
グラフ上のリップルを取るには、膜厚をコンピューターにより最適化する必要があります。

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