チェレンコフ光を効率よく集光する設計を実現

高度化する宇宙観測に適合した
高性能光学センサーを

お問い合わせ窓口

光機能事業部
0564-45-8000

営業時間:平日9:00-18:00

世界最大級のガンマ線天文台チェレンコフ望遠鏡アレイ(CTA)計画において、当社の光センサー用集光器が採用されました。CTAは、宇宙から到来する高エネルギーのガンマ線が地球大気と衝突した際に放出されるチェレンコフ光をとらえることで宇宙ガンマ線の観測を行い、多種多様な高エネルギー天体の発見や宇宙線の起源、超巨大ブラックホールの研究、暗黒物質の探索などが可能になります。
このように天文学の分野では、ガンマ線のほか、電波や赤外線、X線など宇宙から発出される微弱な波動を検知し、宇宙の現象を研究しています。こうした宇宙観測のための望遠鏡は、光や空気の揺らぎを避けるため、高地で天候が良く、都市部から離れた広大な敷地面積が確保できる場所に設置されます。故に、宇宙観測に用いられる光学センサーには、高度な光学性能に加えて、強い耐久性も求められています。

課題チェレンコフ光を集光ミラーの反射率と耐久性を高めたい。

光センサー用集光器は、パラボラ型ミラーで反射されたチェレンコフ光を受光素子でとらえるための装置で、CTA計画に使用される大口径望遠鏡に搭載されます。
チェレンコフ光は、波長300〜500nmの光で、光量がごくわずかであるため、集光器には平滑な面精度と高精度の薄膜が必要です。つまり微弱な光を集光するために高い反射率を得ることが絶対条件となり、一般的なミラーでは宇宙観測に求められるような高反射率を得ることは困難でした。
さらに、集光器の構造は、チェレンコフ光を効率よく集光するように設計する必要があり、宇宙の現象に応じて素早く望遠鏡の向きを変えられるよう軽量化も求められていました。

課題

  • 軽量化実現が必要
  • 高い反射特性が求められる

ソリューション独自のプラスチック形成技術で高い光学性能に加え、軽量化と高耐久化を実現。

当社が開発した光センサー用集光器では、プラスチック形成技術とコーティング技術を駆使しました。
集光器の基板にはプラスチックを採用し、ナノレベルの平滑面と軽量化を実現しました。効率よく集光するために、構造は依頼主である東京大学宇宙線研究所からの原案に基づいて立体構造のミラー群としました。ミラー面は、真空蒸着で金属と誘電体からなる多層膜(アルミ増反射ミラー)を形成し、高反射率を得ると同時に厳しい自然環境に対する耐久性も保持しています。
一般的なガラスコーティングでは、蒸着工程で基板の温度を上昇させてコーティング密度を高め、強いコーティングを可能としています。ところがプラスチックは高温によって変形や伸縮が生じるため、特殊な蒸着技術が必要です。天文学の分野においても、当社のプラスチック形成技術が採用され、未知なる宇宙の謎の解明を支援しています。

東海光学のソリューション

  • 軽量化実現のため素材はプラスチック
  • プラスチック素材への成膜で耐久性、付着性を実現
  • 高い反射特性を実現

今後の展望

宇宙観測に用いた高い技術をセンシングの技術開発に応用していきます。

昨今ではセンシングの技術発展が著しく、今後ますます高精度化が求められ、より微弱な光を検知するセンサーの需要が高まることが考えられます。例えば、自動車のセンサーでは、安心安全な運転に光学性能を活用する動きも活発になるでしょう。光が物質に当たると反射する性質を利用して、自動車から発出した光の反射を受光することで自動運転の障害物検知に役立てることができます。この際、わずかな光でも瞬時に検知する必要があるため、宇宙観測で利用された高度な技術が活用できると期待しています。
また今回のケースでは、集光器のプラスチック形成から関わり、光学部品として納品いたしました。成膜加工だけでなく、完成品販売にも実績があり、今後も少量の試作から量産まで、充実した光学薄膜設計陣がご要望に素早く対応いたします。

ご紹介製品

  • 樹脂コート

お問い合わせ窓口

光機能事業部
0564-45-8000

営業時間:平日9:00-18:00

TOP